○日野町未熟児養育医療事業実施要領
平成25年3月29日
要領第1号
(目的)
第1条 この要領は、正常な新生児に比べて生理的に未熟であり、疾病にもかかりやすく、その死亡率は高率であるばかりでなく、心身の障害を残すこともある未熟児に対し、生後速やかに適切な処置を講ずるため、必要に応じて医療の給付及び保健師等による訪問指導を行うことを目的とする。
(対策)
第2条 未熟児の養育対策の万全を期するため、母子保健法(昭和40年法律第141号。以下「法」という。)第18条の規定による低体重児の早期届出の徹底を図るため、妊娠の届出、母子健康手帳の交付、母親(両親)学級等の機会をとらえて速やかに届出が行われるよう指導するほか、日本医師会、日本助産師会、日本看護協会等の積極的な指導協力を得るため、これらの団体との連絡強調を密にし、未熟児の早期把握に万全を期するものとする。
(対象)
第3条 養育医療の対象は、次の各号のいずれかに該当する未熟児(法第6条第6項に規定する未熟児をいう。以下同じ。)であって、医師が入院養育を必要と認めたものとする。
(1) 出生児体重2,000グラム以下のもの
(2) 生活力が特に薄弱であって次に掲げるいずれかの症状を示すもの
ア 一般状態
a 運動不安、痙れんがあるもの
b 運動が異常に少ないもの
イ 体温が摂氏34度以下のもの
ウ 呼吸器、循環器系
a 強度のチアノーゼが持続するもの、チアノーゼ発作を繰り返すもの
b 呼吸数が毎分50を超えて増加の傾向にあるか、又は毎分30以下のもの
c 出血傾向の強いもの
エ 消化器系
a 生後24時間以上排便のないもの
b 生後48時間以上嘔吐が持続しているもの
c 血性吐物、血性便のあるもの
オ 黄疸
a 生後数時間以内に現れるか、異常に強い黄疸のあるもの
(3) その他交換輸血を要するもの等町長が必要に応じて特に認めたもの
(指定養育医療機関の基準)
第4条 指定養育医療機関の具備すべき基準は、次の各号のとおりとする。
(1) 産科又は小児科を標ぼうしていること。
(2) 独立した未熟児用の病室を有すること。
(3) 保育器、酸素吸入装置、その他未熟児養育医療に必要な器具を有すること。
(4) 未熟児養育に習熟した医師及び看護師を適当数有すること。
(診療上の留意事項)
第5条 指定養育医療機関は、未熟児の医療が専門外にわたるときは、指定養育医療機関医療担当規程(昭和40年12月28日厚生省告示第573号)及び保険医療機関及び保険医療担当規則(昭和32年厚生省令第15号)に定めるところにより、適切な措置を講ずるものとする。
(移送)
第6条 指定養育医療機関は、移送用保育器及び酸素吸入装置を整備し、医師及び看護師の付添いのもとに救急用自動車等により移送するよう配慮するものとする。
(申請及び給付)
第7条 養育医療の給付の申請は、母子保健法施行規則(昭和40年厚生省令第55号。以下「規則」という。)第9条の規定によるものであるが、その要領については次の各号によるものとする。
(1) 申請は、当該医療開始の日から原則として2か月以内に、未熟児の保護者(法第6条第4項)が行うものとする。
(2) 申請書は、様式第2号のとおりで、これには、次の書類を添付するものとする。
a 医師の記載した様式第3号による養育医療意見書
b 世帯調書(様式第9号)
c 生活保護法(昭和25年法律第144号)による保護を受けている場合(単給世帯を含む。)は、福祉事務所長の証明書
e 被保険者証の写し
(給付の決定)
第8条 町長は、すみやかに養育医療を給付するか否かを決定するものとする。
2 養育医療の給付を行うことを決定したときは、規則第9条第2項による養育医療券(様式第1号。以下「医療券」という。)を申請者に交付し、かつ、医療券に記載した指定養育医療機関に、その旨を通知するものとする。
3 養育医療の給付を行わないことを決定したときは、すみやかにその理由を記載した文書により、申請者に通知するものとする。
(医療券の取扱い)
第9条 医療券の有効期間の始期は、当該指定養育医療機関による当該医療開始の日にさかのぼる取扱いとするものとする。また、その終期は、当該医療の終了の日とするものとする。ただし、当該医療の終了の日が当該児の満1歳の誕生日の前日を超える場合は、当該児の満1歳の誕生日の前日を終期とする。
2 申請者は、医療券を紛失又はき損した場合は、養育医療券再交付届(様式第10号)により町に届出を行い、医療券の再交付を受けるものとする。
3 申請者は、医療券をき損したため再交付を受ける場合は、き損した医療券を返還するものとする。
4 申請者は、氏名、住所、又は加入している医療保険に変更があったときは、養育医療券等変更届(様式第11号)により町に届出を行い、医療券の再交付を受けるものとする。
(給付の継続・変更等)
第10条 指定養育医療機関は、医療券の有効期間を過ぎて医療を継続する必要が認められる場合は、事前に様式第4号による養育医療給付継続(変更)協議書を町長に提出し、協議するものとする。
3 承認しないときは、第8条第3項に準じて申請者及び協議者にその旨を通知するものとする。
4 やむを得ない理由により、当該指定養育医療機関を転院する場合は新たに申請するものとする。この場合の申請書には、意見書及び転院を必要とする理由を記載した医師の証明書を添付するものとする。ただし、世帯調書等は省略して差し支えないものとする。
(医療の給付)
第11条 医療の給付は、現物給付によることを原則とし、やむを得ない事情がある場合にだけ現物給付に代えて、その費用を支給することができるものとする。
2 給付の範囲は、法第20条第3項に定められているところであるが、これらのうち移送の給付は、次の各号により取り扱うものとする。
(1) 移送は、未熟児が指定医療機関に入院し、又は医師が特に必要と認めるものについて、承認することとし、その額は、必要とする最小限度の実費とする。なお、移送に際し、付添の必要があると認められる場合は、付添人の移送費についても支給することができるものとする。
(2) 移送費等の支給対象は、本人及びその扶養義務者の全員が、鳥取県社会福祉施設入所措置費等徴収規則(昭和62年鳥取県規則第25号。以下「措置費等徴収規則」という。)第2条第3項に規定する保護等を受けている場合又は前年分(不明な場合にあっては前々年)の所得税若しくは当該年度(不明な場合にあっては、前年度)の市町村民税が非課税である場合を対象とする。
(3) 移送費の支給を受けようとする者は、様式第6号による移送承認申請書を町に申請するものとする。ただし、移送承認申請書には、次の書類を添付するものとする。
ア 移送の事実についての指定養育医療機関の医師の証明書
イ 当該費用の額に関する証拠書類
ウ 町長は、内容を審査し、移送を承認したときは、様式第7号による移送費支給承認通知書により、申請者に通知するとともに、その費用を支給する。
(診療報酬の請求、審査及び支払い)
第12条 給付に係る診療報酬の請求、診査及び支払いについては、鳥取県社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)に委託して行うものとする。ただし、給付を受けた者が国民健康保険法(昭和33年法律第192号)に規定する被保険者である場合の当該診療報酬の診査及び支払いについては、鳥取県国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)に委託して行うものとする。
2 診療報酬の請求は、支払基金に対するものについては、「母子保健法に規定する養育医療に要する費用の審査支払事務を社会保険診療報酬支払基金に委託する契約について」(平成25年2月28日雇児発0228第2号)に、また国保連合会に対するものについては、「養育医療費等公費負担医療の給付にかかる診療報酬等の審査及び支払に関する事務の国民健康保険団体連合会への委託について」(平成25年2月28日雇児発0228第2号)の定めるところにより行うものとする。
3 指定養育医療機関は、処方せんを交付した場合は、養育医療診療報酬請求明細書の摘要欄に処方の内容又は、処方せんの写しを添付するものとする。
(徴収額の決定及び徴収)
第13条 町長は第8条「給付の決定」又は第10条「給付の継続(変更)承認」を行ったときは、法第21条の4の規定による本人又は扶養義務者から徴収する額を措置費等徴収規則に基づいて算定し、申請者に対し、あらかじめ周知徹底させ、日野町財務規則(平成11年日野町規則第7号)に定めるところにより徴収するものとする。ただし、給付期間満了前に退院したものに係る徴収金については、医療機関からの退院報告により算定し、変更して徴収するものとする。
2 養育医療の給付中に徴収額の算定の基礎となる所得税額等に変動を生じた場合は、本人及びその扶養義務者の届出により再認定を行い、変動の生じた日の属する月の翌月から適用するものとする。
(医療保険各法との関連事項)
第14条 医療の給付を受ける本人が規則第14条第2項にいう医療保険各法(以下「医療保険各法」という。)の被扶養者等である場合は、医療保険各法による医療の給付が優先するものとする。したがって、養育医療の給付は、いわゆる自己負担分を対象とするものとする。
(報告)
第15条 指定養育医療機関は、医療の給付を受けた者が、退院したときは、速やかに様式第8号による養育医療給付児童退院報告書を町長に提出するものとする。
(台帳)
第16条 町長は給付の状況を明確にするため、「養育医療給付台帳」を備え付け、その状況を明らかにしておくものとする。
(所得税額等の算定)
第17条 所得税額の認定に際して適用しない控除の範囲は、措置費等徴収規則第2条の6のうち、「所得税法(昭和40年法律第33号)又は租税特別措置法の規定による控除のうち知事が別に定めるもの」とは、所得税法第78条第1項の規定による控除(当該控除に係る寄付金が同条第2項第1号に該当するものであるとき、又は同項第2号若しくは第3号に該当するものであるとき(当該寄付金が地方税法(昭和25年法律第226号)第314条の7第1項第2号に該当するものであるときに限る。)に行われる控除に限る。)又は所得税法第92条第1項若しくは第95条第1項から第3項まで若しくは租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第41条第1項から第3項まで、第41条の2、第41条の3の2第4項若しくは第5項、第41条の19の2第1項、第41条の19の3第1項若しくは第2項、第41条の19の4第1項若しくは第2項若しくは第41条の19の5第1項の規定による控除とする。
2 市町村民税の所得割額に認定に際して適用しない控除の範囲は、措置費等徴収規則第2条の6のうち、「同法の規定による控除のうち知事が別に定めるもの」とは、地方税法第314条の7、第314条の8、附則第5条第3項又は第5条の4第6項の規定による控除とする。
(未熟児訪問指導)
第18条 法第19条による訪問指導の実施に当たっては、医療機関等を通じて未熟児の症状等の把握に努めるものとし、指導内容は当該医療機関の医師等の意見を聞くほか、「母性、乳幼児に対する健康診査及び保健指導の実施について」(平成8年11月20日児発第934号厚生省児童家庭局長通知)の別添「母性、乳幼児の健康診査及び保健指導に関する実施要領」のⅡの第2の3及び第3の3を参考とし、特に、合併症や後遺症、成長発育状況等に応じて適切な指導を行うものとする。
2 訪問指導を徹底するため、常に低体重児の届出状況等を把握するとともに、医療機関等との連絡を密にし、対象の把握に努めるものとするため、第15条による退院報告等の徹底について医療機関その他関係者に協力を求めるものとする。
3 報告を求めるにあたっては、未熟児の出生内容等に関しての医療機関から町に対する連絡票をあらかじめ関係医療機関に配布しておくものとする。
4 未熟児は、通常養育上の必要性から訪問指導を必要とするため、出生したすべての未熟児を対象として訪問指導を行うことが望ましい。特に、未熟児養育医療の対象となった児を重点対象とするものとする。
5 訪問指導を行ったときは、母子健康手帳及び関係書類に必要な事項を記入して事後指導の徹底を図ることとする。
(健康診査及び保健指導)
第19条 未熟児の出生を防止するためには、未熟児出生の原因となる妊婦の疾病等の予防と早期発見に努め、早期に治療を行うことが必要であるので、妊婦に対する妊娠中の定期的な健康診査及び保健指導の徹底に努めることとする。
(医療機関等の協力)
第20条 未熟児養育事業の円滑な実施を図るため、本事業に直接関係する医療機関はもとより、医療保健関係者等に対し、日本医師会、日本助産師会、日本看護協会等を通じて本事業の趣旨の周知徹底を図るとともに、積極的な協力を求めることとする。
(広報活動)
第21条 未熟児養育事業の実施については、未熟児医療にたずさわる医師及び助産師等の医療保健関係者はもとより、母子保健推進員、母子保健地域組織の構成員等に対し、本事業の趣旨の周知徹底をはかるほか、積極的な協力を求めて効率的な運営をはかることとする。
2 住民、特に妊婦に対し、本事業の趣旨の徹底を図り、母親(両親)学級等の保健衛生教育の場を通じて常に未熟児養育上の正しい知識とその方法を普及すること。
(その他)
第22条 このほか必要な事項は町長が別に定めるものとする。
附則
この要領は、平成25年4月1日から施行する。
附則(平成27年要領第2号)
この要領は、平成28年1月1日より施行する。
附則(平成29年要領第1号)
この要領は、公布の日より施行する。
附則(平成31年要領第1号)
1 この要領は、令和元年5月1日から施行する。
2 この要領施行の際、現に従前の要領等により行われた手続、処理の様式は、この要領によってなされたものとみなす。