町長施政方針

町長施政方針
令和7年度 日野町長施政方針

 令和7年日野町議会3月定例会の開会にあたり、日野町の施政方針について説明する機会をいただき、心より感謝を申し上げますとともに、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 令和4年2月の町長選挙におきまして2期目の当選をさせていただき、早3年が経ちました。この間、議員の皆様をはじめ、町民の皆様からは多くのご支援と、厳しくも温かいご指導をいただきましたこと、高い席からではございますが、お礼申し上げます。私自身の任期も残すところ1年ほどとなりましたが、2期目4年間の総仕上げとなるよう努めて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 昨年を振り返ってみますと、国の方では10月1日に石破内閣が発足し、鳥取県から初の内閣総理大臣が誕生いたしました。その後の10月27日には衆議院議員総選挙が行われ、11月11日に第2次石破内閣が発足しました。更には、赤澤亮正衆議院議員が経済再生担当大臣に就任され、鳥取県を取り巻く環境に大きな影響を与えていくものになると期待をしているところでございます。
 一方、世界を見ますとロシアによるウクライナ侵攻の長期化、ハマスによるイスラエルへの越境攻撃とイスラエル軍によるガザへの侵攻など、多くの尊い命が奪われています。戦いを終え、戦火に怯える人々が、かつての平和な日常が戻ることを願ってやみません。また、その影響もあり、依然として石油をはじめとするエネルギー価格や原材料価格が高騰するなどの影響も続いています。本年1月にはアメリカ合衆国でトランプ大統領が再び就任されましたが、アメリカ第一の旗を振り、保護貿易や移民排斥に動くなど、様々な発言が世界から注目される中、今後日本にどのような影響をもたらすか、わが国をはじめ各国は緊張と混迷の中にあります。日本政府にはしっかりと国際情勢を見極めながら対応していただきたいと考えています。
 円安傾向への動向が注視されながら、さまざまな物の価格が上がり、住民生活にさまざまな影響を与えている中、本町では物価高騰で大きな影響を受けている町民の皆様の生活支援策として物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用しながら、町民1人あたり1万円分のくらし応援商品券を発行し、3月24日から使用いただくため、発送作業を進めているところです。

 

 さて、町では、町民の皆さまとともに日野町の資源を活かした「第2次きらり日野町創生戦略」を着実に推し進めて参りました。「移住・定住」「子育て・教育」「学校教育・社会教育」の施策にも注力し、1学年15人の目標についてはわずかに及ばなかったものの、一定水準は維持しており、人口目標についても所期の目標を達成できる見込みです。
 令和7年度は、「第3次きらり日野町創生戦略~まちが持続していくために~」のスタートの年であります。この第3次きらり日野町創生戦略の基本となる理念は、住んで良かったと思えるまちづくりであり、移住対策など従来の7つの分野に引き続き注力し、担い手不足解消、将来の移住定住の観点から関係人口の拡大という視点を加えて、今後のまちづくりを進めていくこととしております。
基本視点として、

 一つには、地域資源を活用した賑わいのあるまち

 町の各所にある地域資源を地域の知恵や創意工夫で産業振興、町の活性化に有意義に活用し、心豊かに暮らすことで人を呼び寄せる、賑わいのあるまちづくりに取り組みます。

 二つには、住民が生きがいをもって自ら考え実行する住民主導のまち
 住民がそれぞれの役割と責任を分担し、住民同士で手を取り合いながら、それぞれが生きがいをもって考え、決定し実行していく住民主導のまちづくりを進めるとともに、行政がそれをしっかりと支えていきます。

 三つには、若者・子どもが住む未来へつながるまち
 まちを維持していくために、一人でも多くの若者が住み、子どもが誕生し、地域で子どもを育て、地域を愛し支えていく人財を育成するサイクルを持続するよう取り組みます。

 四つには、みんなの笑顔が光る安心安全なまち
 子どもから高齢者まで笑顔で安心して暮らすことができるために、住民の生命・財産を守る災害に強いまちづくりや、健康で過ごすことができる福祉のまちづくりに取り組みます。

 さらに、「次世代を担う人財育成」、「集落ネットワークによる集落機能の強化」、「他出子など関係人口と日野町との関係性強化」の視点を新たに加えて展開していくものであります。
 これら4つの視点を堅持して、人と人とのつながりを大切にし、生きがいをもって安全で安心して暮らせるまちをつくり、暮らしている人たちが「住んで良かった」と思えるまち、将来を担う子どもたちが誇りを持って未来に引き継いでいけるまちづくりを目指して参ります。

 また、第3次の戦略では、人づくりや働く場づくりといったことにも重点を置いて進めていきます。役場業務のアウトソーシングを進め、役場業務のスリム化と地域住民の働く場づくりを進めて参ります。当面は、働いてくださるワーカーのスキルアップも兼ねて役場業務の外部発注というかたちでスタートします。将来的には役場のみならず外部の仕事を請け負って町内での経済循環も促して参りたいと思います。
 具体的には、まちづくりを「集落機能の維持・移住・定住」、「子育て・幼児教育」など7つの分野に体系づけて、施策を進めて参ります。

 

 それでは、令和7年度の重点施策についてご説明申し上げます。以下、「第3次きらり日野町創生戦略」の7つの分野に沿って、ご紹介して参ります。
 まず一つ目の分野は「集落機能の維持・移住・定住」です。
 まちでは、過疎高齢化の影響により地域の活動は継続が困難になりつつあります。持続可能なまちづくりをするためには、地域の活動の活性化を図るとともに、新しい人の流れを作りながら、若い世代が住み続けることが出来る環境を整えていく必要があります。
 そのため、具体的に集落機能の維持・存続では、集落機能の礎である話合いの場づくりや地域の仕組みづくりを促進するため、引き続き集落支援員、地域づくり事業推進員、地域活動支援交付金を組み合わせた取り組みを進めて参ります。
 町では、中山間の地域振興の課題である人口減少や高齢化社会から生ずる課題に正面から立ち向かうため、1つの集落では支えきれなくなったものを、集落間のネットワークで支える仕組みとして、「小さな拠点づくり」を推進しており、第1号となった菅福地区の「高宮の郷」に続いて、高尾・後谷・金持地区の「宝仏山源流の会」の活動も始まっています。今年度は新たな小さな拠点の設置を目指して取り組んで参ります。この取り組みが、全町に広がっていくよう推進を図り、人口が減少しても暮らし続けることができるよう、集落と行政が一体となり取り組んで参ります。
 そのためにも、集落に暮らす人たちがまずは集まり、そして地域の課題解決にむけた話し合い、活動のきっかけづくりに利用していただいている地域活動支援交付金による支援を引き続き実施し、更なるチャレンジに向かう自治会への研修や人材育成など、ステップアップに挑戦する地域活性化への取り組みについても引き続き支援して参ります。
 次に「移住・定住」に関する施策について。
 本町の人口は本年1月1日現在で2,609人であり、昨年同日の2,720人と比べ111人減少しています。一昨年から昨年の119人の減少と比べ、減少幅が若干ではありますが減っています。この速度をできるだけ緩やかにしていくためには、若い世代が住み続けることができる環境を整え、Uターン者等の移住者を呼び込み、新しい人の流れを作っていかなければなりません。
 就職や進学などでいったん日野町を出られる方にも引き続き日野町との関係を保っていただけるような仕組みをつくり、将来のUターンにつなげていくことが大切です。そのためには、移住の予備軍となる関係人口を確保するため、特に若い層の確保に向けて、同窓会への助成に加え、ふるさと住民票登録を条件に学生の帰省費用を支援する制度を今年度も盛り込んでおります。
 また、子供の遊び場であるしいたん広場や旧黒坂小学校のリノベーションLabでの研究やだんだん食堂の運営などにより、若年層の関係人口も拡大し、町や集落の事業への参加や将来的な移住に期待しながら、町外の移住希望者、他出子やUターン希望者などの関係人口とのつながりを情報発信に注力しながら強化して参ります。
 地域おこし協力隊についても、全国のイベントなどにも出かけ、日野町の魅力を発信し、新規の募集を継続するとともに、既存の隊員のスキルアップも図り、任期終了後も継続して日野町で自立して定着できるように進めて参ります。
 さらには人口の減少が進む中、まちを維持していくためには、若者が住み、子供が誕生し、地域で育っていくサイクルを維持していくための魅力ある環境整備が必要です。
 本年度は、昨年度から着手しています世帯向け住宅が9月末頃、野田地区に完成します。新しい住宅は、町産材のヒノキを土台と柱に使用し、太陽光パネル、蓄電池を備えた省エネルギー・災害に強い仕様となっています。魅力ある住宅の情報を広く発信し、子育て世代の移住定住を進めて参ります。

 

 第2の分野は「子育て・幼児教育」です。
 町内で安心して子供を産み、育てる環境を整えるとともに、子どもたちの生きる力の基礎を養うことが大切です。そこで、結婚、出産、子育てまでの切れ目のない支援や安心して子育てできる環境づくりを進めていくため、全ての妊産婦、こども、子育て世帯の一体的に相談支援を行う子ども家庭センターの運営に加え、「出産応援ギフト」「育児パッケージ」「出生祝金」「子育て応援ギフト」「ごみ袋支給事業」「家庭子育て支援金」「すくすく子育て支援金」「小中学生等応援支度金」「18歳以下の児童生徒の医療費無償化」などを継続し、経済的にも子育て支援の充実を図って参ります。

 ひのっこ保育所では、令和7年度は43名程度の保育所への入所が予想されています。令和2年度より保育料を無償とし、令和3年度は、延長保育、土曜保育ができる体制を整え、町内で安心して子どもを産み、育てることができる環境整備を進めて参りました。また、子育てを支援するために「子育て支援室おひさまひろば」を引き続き開設し、保護者のニーズに合った講座の開設や情報発信を行っています。

 病児・病後児保育室については、日野病院に業務を委託することで、診察から利用までの手続きの簡素化を図るなど、ご利用いただきやすい仕組みを整え、令和6年度からは米子市内の病児保育室も利用可能といたしました。今後も子育て世帯の就労支援体制や、子育てしやすい環境づくりに取り組んで参ります。
 保育所の整備では、国の電源立地地域対策交付金を活用し、照明のLED化を実施します。また、プールの改修も行い、環境を整えて参ります。
 一人一人の発達に応じた保育を行い、また「おひさまひろば」や家庭教育支援チームの事業などでは、家庭訪問等によるアウトリーチ型の子育て支援も行って参ります。また、保護者連絡アプリを導入したことで、保育所職員と保護者の負担軽減が図られており、ICTを活用した取り組みを推進して参ります。

 第3の分野は、「学校教育・社会教育」です。
 令和7年度の日野学園の児童生徒数は、前期課程(1~6年生)70名、後期課程(7~9年生)31名、合計101名の予定です。
 令和5年4月に施設一体型の義務教育学校として日野学園を開校し、地域とともにある学校づくり、学校を核とした地域づくりに取り組んでおります。そして独自教科「はばたき科」の学びにより、ふるさと日野町に誇りを持ち、地域に積極的に関わり、主体的に学び行動する児童生徒を育成して参ります。
 また、今年度からは学校給食費を無償化し、子育て世帯の経済的負担を軽減する支援を強化していきます。自然、歴史文化、人物等、地域の良さを学び、郷土への愛着と誇りを醸成する学習を体系的に行うとともに、体験・探究活動を通して、子どもたちが生まれ育った地域に貢献しようとする意欲を養うことができます。町を持続させるためには、将来の日野町を創る人材を育てていかなければなりません。そのために、保護者の皆様や地域の皆様の参画を得ながら、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に進めて参ります。
 日野高校の魅力向上につきましては、令和6年度の入学者は36名となり、前年度より増加しました。日野郡で唯一、日野町にとって大切な高校を守っていくため、引き続き日野郡3町と鳥取県、日野高校が連携し、更なる高校の魅力発信に努め、入学者増を目指していきたいと考えております。
 さらには、日野高校の寮として町内にある双葉寮の運営、県内外の寮生への支援も引き続き実施して参ります。また「公設塾まなびや縁側」においては、高校生が地域への理解を深めることによって、ふるさとに貢献できる人材の育成を進めて参ります。
 社会教育では、公民館を中心に、社会を生き抜く上で必要な自立・協働・創造に向けた力を、生涯を通じて身に付けていくことができるように、町民の皆様が直面する課題や社会の多様な課題に対応した学習を充実させるとともに、学習成果が広く活用されるような機会をつくって参ります。


 第4の分野は、「産業・雇用」の分野です。
 活力と魅力あふれる産業を創り、安定した雇用を創出する取組など進めて参ります。まず本町の基幹産業である「農林業」についてです。
「農業」については、令和6年度でがんばる地域プランの事業年度が終了しました。現在、同プランのレガシーをこれからの日野町の農業に生かしていくため、新たな町独自プランの策定に向け取り組んでいます。町独自プランでは、担い手育成、日野町農林振興公社の機能強化、循環型農業の推進、集落共同活動による集落機能の維持を主要な取組の柱に設定し、地域プランで好評をいただいていた堆肥散布事業の継続や、堆肥を活用した特産品栽培の推進、また、農林振興公社の人員確保などに取り組み、地域資源を生かした農業生産と収益アップ、守るべき農地の維持を図ることとしています。
 さらに、本町の米作りを守り、継続維持するため、水稲苗代助成制度の継続や海藻肥料の普及支援、鈴原糯の生産支援、販売野菜等の種苗費補助、経営移譲のための親元研修支援など、意欲ある農家を下支えし、本町の農業・農村をしっかりと守っていく取組を推進していきます。
 これに加えて、有害鳥獣による農作物被害を防ぐため、侵入防止柵の設置を推進し、農地保全を図るとともに、銃免許を取得する新規狩猟者への経費助成など、引き続き人材確保に向けた取組も進めていきます。
 次に「林業」についてです。
 手つかずとなっている森林の整備を推進し、災害に強い森林づくりのため、森林所有者への意向調査や集積計画の作成、間伐や皆伐の実施及び路網整備など、森林環境譲与税を活用した適切な森林整備を進めます。また、昨年に引き続き、林業専用道金持朝刈1号線の舗装改良、スマート林業推進を図る鳥取日野森林組合への支援、さらには、林業の担い手を確保するため、新たな林業従事者への町内への移住定住を図るための家賃補助を継続し、林業を支える担い手の育成・確保に取り組んで参ります。
 次に「商工業」についてです。
本町の地域・経済活性化のためには、地元商工会との連携した取組を進めていくことが重要です。このため、中小企業の経営相談や融資相談、講習会などの経営支援、賑わい創出に繋がるイベント実施支援、オシドリ観察小屋来場者への町内ランチ割引、観光振興のためのサイクルツーリズムの推進など、町商工会が行う地域経済活性化に向けた事業を支援するとともに、中小企業の資金繰り支援、起業・創業への支援など、町商工会と一緒になって地域産業の活性化を図って参ります。
 最後に「観光業」についてであります。
本町の地域・経済活性化のためには、観光客の方に本町にお越しいただくことも重要です。引き続き、観光情報の発信やイベント企画などを通じた観光振興に取り組んで参ります。
 また、昨年に続き「WEST EXPRESS銀河」の根雨駅停車を活かし、ゲームとコラボレーションしたイベントを行うことで、鉄道ファン、ゲームファンなど町外からの誘客につなげ、交流人口・関係人口の拡大を図って参ります。
 併せて、本町の観光資源であり、今年秋に放送のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」による、町内外からの誘客が見込まれる小泉八雲ゆかりの「滝山公園」を適切に管理するとともに、星空保全地域として指定された、優れた星空環境を活かした星空観察会の開催など、地域資源や観光資源の活用に取り組んで参ります。
 さらに、本町の観光施設として定着してまいりました「金持テラスひの」や「オシドリ観察小屋」の円滑な管理・運営を継続しながら、観光客の方に本町の魅力をお伝えして参ります。
 この他、たたらの普及活動やイベント開催などに取り組む「伯耆国(ほうきのくに)たたら顕彰会」への支援などにより、たたらをキーワードとした観光地づくりを進めて参ります。


 第5の分野は、「まちづくり」です。
 誰もが心豊かで潤いのある生活や生きいきと輝き活力がある社会を実現する取組など進めて参ります。
まずは、生活交通確保対策事業についてです。
 引き続き、町営バス・町営タクシーの運営を日本交通に委託します。また、タクシー料金への助成も継続し、高齢の方や生徒児童などが安心で使いやすい移動手段の確保に努めて参ります。
 次に住民の皆様の買い物支援となっている移動販売事業についてです。

 合同会社ひまわりが受託している支え愛コンビニ・プロジェクトも4年目を迎えます。このプロジェクトは生活していく上で欠くことのできない食を守り、住民の安心や安全を確保するため、引き続き事業者と協力し、取り組んで参ります。
 次に日野学園の開校に伴う黒坂小学校及び日野中学校の跡地利用についてです。

 旧黒坂小学校は、日野町リノベーションLabと言う「研究所、多様な集いの場、コワーキングスペース、起業創業スペース」など多様な利用ができる場として、引き続きスタッフを一人常駐させ、だんだん食堂やカルチャーセンターの運営、各種団体の研究の場として、利活用を進めて参ります。また、昨年には町社会福祉協議会の事務所も入り、地域の拠点としてのより所として充実させていきます。
 旧日野中学校については、引き続き「しいたん広場」を毎週土日に開設して、親子連れで楽しく過ごしていただけるような場となるよう、取り組みを進めて参ります。
 次に皆さんにご覧いただいているチャンネルひのについてです。

 当初より生きた情報発信、さらには住民参加や意識の高揚を促すことなどを目標に掲げ、議会放送や町内のニュースなど、町独自の情報を発信しておりますが、放送するための機器も老朽化しているものがあり、計画的な機器更新を行うことで、安定した放送に努めるとともに、皆さんに喜んでいただけるような番組づくりに取り組んで参ります。
 次にデジタル化への取り組みについてです。

 デジタルデバイドいわゆる情報格差の対策として、一昨年度スマートフォンを用いて、町の行政情報を発信するアプリや気軽にフレイルチェックができるシステムの導入を行いました。今年度も高齢者の方向けのスマートフォン購入助成や、操作などを学んでいただくためのスマホ教室を引き続き開催し、デジタル技術の普及に取り組んで参ります。
 また、今年度は新たに、ごみの収集情報をお知らせするアプリの導入や住民の方が免許証やマイナンバーカードをかざすことにより、役場窓口での申請書で、名前、住所などを書かなくても済むシステムを導入し、住民の暮らしの利便性向上を図って参ります。
 次に、運動・スポーツです。
運動・スポーツは、体力を向上させ、豊かな心と健やかな体を育む基礎となります。また、伝統、文化芸術に触れ、地域への理解を深めることは、郷土を愛し、豊かな人間性を持った人材の育成につながるものと考えております。
ソフトテニスやカヌー等、日野町の特色あるスポーツの普及、振興に引き続き努めて参ります。また、令和5年度から根雨・黒坂地区でニュースポーツ大会を開催していますが、今後も幅広い世代のより多くの町民の皆様に参加いただけるようなスポーツ活動を充実させていきます。
 また、文化センター・図書館は今年度、開館30周年を迎えます。町民の皆様に支えていただいた30年を記念した公演などを開催し、文化センターでの事業を通して芸術文化活動を推進します。日野町図書館では、学校図書館・保育所との連携の中で、図書の充実と読書活動を推進し、また情報提供や展示等の場を設置することで、住民が集う場としての活用を進めて参ります。
 文化財に関しては、「文化財保存活用地域計画」に基づき、地域社会総がかりによる文化財の保存、活用を進めます。町内には「たたら文化」をはじめとする独自性の強い地域資源が豊富に存在しますので、こうした資源の発掘、磨き上げに取り組み、町民の芸術・文化への関心を高めるとともに、郷土への愛着をさらに深めていくことを目指します。
 今年度は、都合山たたら跡調査研究が始まります。たたら文化などの地域資源を生かしたまちづくりを推進するため、また、国史跡指定を見据えた遺跡調査を進めて参ります。

 

 第6分野は、「保健・医療・福祉」です。
 町民の健康で安心・安全な暮らしを守る取り組みを進めて参ります。
 日野町には、地域の基幹病院として住民の皆さまの安心安全な生活のために欠かせない「日野病院」、民間事業者として様々な介護サービスを提供いただいている「日翔会」があります。
 ともに、長年にわたり本町の医療、介護を支えていただき「日野町の宝」と言えます。私たちは、日野病院を安定経営に導き、日翔会を誘致してくださった先人の皆さまへの感謝の気持ちを決して忘れることなく、人口が減少する中、日野病院や日翔会が、このままあり続けるためには、打てる手段を打ち、将来に向けて持続可能な医療・介護のサービス提供体制を構築しなければなりません。
 今年度は、鳥取大学医学部への委託による小児科医の育成及び確保強化や町内の医療・介護事業所などに就労している方への奨学金の返還支援における地域要件の拡充、地域総合整備資金貸付(ふるさと融資)を活用した日翔会職員住宅建設に対する貸付事業など、人材確保対策を中心に事業を進めていき、未来に向けて足場をしっかり固めていきます。
 まず「医療」についてです。
 町として住民の皆さまに安心して暮らしていただくためには、現在の医療提供体制を維持していくことが重要です。地域医療の維持存続に向けて、日野病院を中心に日野郡内の医療機関との連携を強化、機能分化を進めていくことと、小児科医の共同雇用を始めとする「医師確保」の取組みを更に強化し、今後の医療資源確保に全力で取り組んで参ります。
令和4年度から開始した帯状疱疹ワクチンの予防接種費用の助成につきましては、法定接種にかわるものの、接種できる年齢に制限があることから、引き続き50歳以上の方がいつでも接種が出来る仕組みを継続して、重症化の予防を図って参ります。
 次に検診率向上に対する取り組みです。

 本町の検診率は他市町村と比べ低い水準にあります。健康なまちづくりを推進するためは、がん、生活習慣病をはじめとする疾患の予防だけでなく早期発見、早期治療が大切です。今年度は健康診査、各種がん検診、健康教室等に参加した方へしいたん健康ポイントを付与し、一定以上のポイントが貯まった方に町特産品を送る事業を計画しています。早期発見、早期治療につなげ、町民の健康増進につなげて参ります。
 さらには、スマートフォンなどにより検診予約ができる仕組みを定着させ、検診を受けやすい体制も引き続き実施して参ります。
 次に「介護」です。
 国全体の社会保障費に対する負担が増加する中で、高齢者の集まりの場で100歳体操や健康ゲームとしてのeスポーツなどの介護予防事業への参画を促し、自宅に閉じこもりがちな高齢者の外出促進や身体及び認知機能の維持又は向上を図り、健康寿命の延伸に取り組んで参ります。
 続いて、「福祉」です。
 今後の高齢化率等を考えると、町社会福祉協議会に対する住民ニーズは増加の一途となると推測しています。地域おこし協力隊の雇用による地域福祉に携わる人材の確保、町社会福祉協議会の正規職員を1名増員した運営費への補助などに取り組み、町社会福祉協議会の一層の充実を図って参ります。
 また、本人や世帯が有する複合的な課題を包括的に受けとめ、地域住民とともに継続的な伴走支援を行う重層的支援体制の構築に向けて、一人一人が生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことができる「地域共生社会」が実現できるよう取組みを強化して参ります。


 第7分野は、「防災・減災」です。
 町民が将来にわたって安全に安心して暮らせる取り組みを進めて参ります。
 まずは、根雨地区の急傾斜地崩壊対策事業です。
 本年度は、根雨1区側の落石防護柵設置工事に着手します。工事完成は当初の予定より遅れ、令和8年度を予定しておりますが、山の斜面の崩落・落石を防ぎ、関係地元住民の皆様の安心確保に努めて参ります。
 次に耐震化住宅の推進についてです。
 能登半島地震では、多くの家屋が倒壊する被害が発生し、家屋の耐震化が全国的に問題となりました。昨年度創設しました住まいの耐震化を支援するための住宅等の耐震補助金について、耐震化の補助内容を拡充します。
 次に、自治会への防災力強化・充実への支援です。
前年度創設した自治会の仮避難場所となる集会所の改修や資機材等の整備に係る支援を継続し、災害に強いまちづくりを推進していきます。
 次に消防団消防車両の更新整備についてです。
 町の消防団は、火災などの災害時に被害を最小限にくい止め、住民の生命財産を守るため活動していますが、黒坂地区に配備している消防ポンプ車の老朽に伴う車両の更新を行い、地域の安心安全を確保して参ります。
 また、今年度、消防庁から救助資機材・小型動力ポンプ搬送車の貸与が決まりましたので、別に老朽化している車両と入れ替え、消防団の機能強化を図って参ります。
 各種計画では、法制度改正や社会環境の変化、近年の災害発生状況等を踏まえ、今年度は平成25年3月に策定した業務継続計画の更新をして参ります。
 次に災害に備えるインフラ整備です。
 町が管理しています橋梁、道路につきまして、本年度は、黒坂中央橋など19橋の点検診断及び濁谷橋などの修繕工事。町道濁谷滝山線などの道路復旧工事を実施します。
 また、本年度から西伯根雨線などの県道約19.8㎞の維持管理を鳥取県から受託し、町道とともに、安全・安心な生活道の維持管理を推進していきます。
 次に、上下水道の整備についてです。
 簡易水道では、昨年度から着手しています黒坂地区簡易水道施設の井戸掘削について予定していた水量が確保できないことから、場所を滝山公園内に変更して工事を進め、黒坂地区の水道水の安定供給に努めて参ります。
 また、今後の整備計画に役立てていくために、簡易水道全施設の耐震老朽化診断を実施して参ります。下水道事業は、安原地区と黒坂地区のマンホールポンプの取替工事、舟場地区にある処理場の高圧ケーブルの取替工事を行い、安定的な維持管理に努めます。
 今年は鳥取県西部地震から25年目の節目を迎えます。全町一斉防災訓練では、鳥取県西部地震を風化させない取り組みとなるよう、訓練を通じて地域防災力の向上を強化して参ります。
 まちの防災力を維持する上で、消防団員の確保は重要です。町の防災力の大きな要の1つが町消防団であることは明らかで、消防団アプリを用いた活動を支援するなど「見える化」を図りながら、活動基盤の強化、団員の確保・定着に取り組みたいと思います。

 

 以上、令和7年度当初予算における主要事業について申し述べました。
 毎年申し上げておりますが、人口が減少していく中にあっても、人と人とのつながりを大切にし、生きがいをもって安全で安心して暮らせるまち、暮らしている人たちが「住んで良かった」と思えるまち、将来を担う子供たちが誇りを持って未来へ引き継いで行けるまちづくりを念頭に据え、町民の皆さん一人ひとりが行政に参画のもと、一体となって創意工夫を凝らしながら、各種施策に着実に取り組んで参りますので、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、施政方針といたします。

 

 令和7年3月4日

日野町長 﨏田淳一