町長施政方針

町長施政方針
令和6年度 日野町長施政方針

 令和6年 日野町議会 3 月定例会 の開会に あ たり、町政の推進について私の所信の一端を申し述べ、議員各位、並びに町民の皆 様 のご理解と ご 協力を 賜りたい と存じます。

 最初に本年1月1日に石川県能登地方を中心とした最大震度7の大きな地震が発生しました。 この地震により多くの 方が 犠牲 と なり、 被災されましたこと に 心よりお悔やみ申し上げるとともにお見舞い を 申し上げます。正月元旦の夕方ということもあり、ご家族で正月をお祝いし、団らんの中での地震でした。地震から2か月が経過する中、今なお、水道の断水などインフラの復旧にはまだまだ時間を要する状況で、多くの皆さんが避難生活を余儀な くされておられるところであります。本町では平成12年10月に鳥取 県 西部地震で震度6強に見舞われ、道路、水道、農業施設、住宅などが被災し、多くの方々からの支援をいただきながら、復旧復興いたしました。その時の感謝の気持ちを忘れることなく、 能登半島地震で被災された地域 が一日 でも早く復旧復興されるよう願うと ともに、町としてもできる限りの支援をさせていただきたいと思います。

 さて、私も 2 期目の町政 運営 を担わせて頂 いてから2年が 経過し 、 折り返し地点となったところでござ いますが、 この間、議員の皆様をはじめ、町民の皆様からは多くのご支援と、厳しくも 温 かいご指導をいただきましたこと、高い席からではございますが、お礼申し上げます と共に、 町長としての職責の重大さを再認識しているところでございます。昨年を振り返ってみますと、新型コロナウイルス感染症との戦いが3年を経過する中、5月8日には新型 コロナウイル ス 感染症法上の位置づけが 「 2 類相当」から季節性インフルエンザと同じ「 5 類」に引き下げ られました。 それまで 私たち は 感染症対策の面から 様々な行動に制限を受け、 社会 生活や経済 活動 に与えた影響は想像以上に大きいものが ありましたが、 「5類」に引き下げられたこ とにより、 徐々にではありますが、 コロナ禍前に 生活を取り戻し つつあります。
 一方、世界を見ますと ロシアによるウクライナ侵攻 が長期化し、 依然 、 石油をはじめとするエネルギー価格や原材料価格が高騰し、加えて数十年ぶりとなる円安水準も重なったことにより、さまざまな物の値上がりが高止まりする中 、昨年10月にはハマスによるイスラエルへの越境攻撃とイスラエル軍によるガザへの侵攻により、多くの尊い命が奪われ、今なお、終息への道のりは見え ず、中東情勢が緊迫している 状況が続いており ます。
 そのような中、物価高騰で大きな影響を受けた町民の皆様の生活支援策として、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用しながら、町民1人あたり1万円分の地域商品券をお配りした「 くらし 応援商品券事業」や 1世帯あたり 1万円分の燃料購入券をお配りした 「 灯油・ガソリン・LPガス購入助成事業」などを行い、町民の生活 及び 町内事業所への下支えを行って 参りました 。
 また、4月には小学校と中学校を統合し、 小中一貫の 日野学園が開校し、 全校生徒児童111人で新たな 学び舎での 学校生活がスタートしました。廃校となった 旧黒坂小学校 では、 町が抱える中山間地域の問題、特に人口減少に対して課題解決を行うため「産・官・学」が連携し、 地域の活動拠点となるためのリノベーションラボの取り組みや旧日野中学校では、 子どもたちを見守りながら、親子で楽しめる遊び場 として、
しいたん広場 を スタート させました 。

コロナ禍では 縮小を余儀なくされていた イベントや 行事 など が徐々に 再開されるようになり 、 6月に行われた鵜の池マラソンでは、県内に限定していた参加者を全国に広げたり、7月 には 4 年ぶりに根雨まつりが行われ、 根雨のまちなかを踊り子の列が練り歩き、 夏の夜空に花火が打ち上げられました。 9月には町民運動会 の 趣向を変え、 ニュー スポーツ 大会 として開催するなど、コロナ禍以前の賑わいを取り戻せるよう賑わいの機運づくりに取り組んだところでございます。
 さて、町民の皆さまとともに 日野町の資源を活かした「第2次きらり日野町創生戦略」を着実に推し進めて参りましたが
本年度5年目の 最終年度 となります。 現行の戦略に関する事業の総仕上げと次期戦略に向けた検討を進めて 参ります 。

 

 その基本となる視点は一つには、若者・子どもが住む未来につながる持続可能なまち。まちを維持していくために、一人でも多くの若者が住み、子どもが誕生し、地域で子どもを育て、地域を愛し支えていく人材を育成するサイクルを持続するように取組を進めます。
 二つには、住民が生きがいを持って、自ら考え実行する住民主導のまち。住民がそれぞれの役割と責任を分担し、住民同士で手を取り合いながら、それぞれが生きがいを持って考え、決定し実行していく住民主導のま ちづくりを進めるととも
に、行政がそれをしっかりと支えて参ります 。
 三つには、地域資源を活用した賑わいのあるまち。町内の各所にある地域資源を地域の知恵や創意工夫で産業振興、町の活性化に有意義に活用し、心豊かに暮らすことで人を呼び寄せる、賑わいのあるまちづくりへの取組を進めます。
 四つには、みんなの笑顔が光る安心安全なまち。日野町町民憲章の第1 番目に「人権を重んじ、いのちとくらしを大切にしよう」とある通り、一人ひとりを大切にし、そこから始まる人と人とのつながり・絆を大きな力として、 子どもから高齢者まで笑顔で安心 して暮らすことができるために、住民の生命・財産を守る災害に強いまちづくりや、健康で過ごすことができる福祉のまちづくりの取組を進めます。

 これら4つの視点を堅持して、 人と人とのつながりを大切にし、生きがいをもって安全で安心して暮らせるまちをつくり、暮らしている人たちが「住んで良かった」と思えるまち、将来を担う子どもたちが誇りを持って未来に引き継いでいけるまちづくりを目指します。具体的には、まちづくりを「集落機能の維持・移住・定住」、「子育て・幼児教育」
など7つの分野に体系づけて、施策を進めて参ります。従いまして、令和6年度の当初予算案の重点施策は、この「第 2 次きらり日野町創生戦略」を柱とするものです。

 それでは、令和6 年度の重点施策についてご説明申し上げます。以下、「第2次きらり日野町創生戦略」の7つの分野に沿って、ご紹介して 参ります。
 まず一つ目の分野 は 「 集落機能 の維持・移住・定住」 です。まちでは、少子高齢化、過疎化により人口減少が進行し、集落機能が低下してきています。効率的な自治会運営や自主活動の促進、若者や子育て世代の移住・定住の促進、町内出身者の U ターンの促進を進めて参ります 。具体的に集落機能の維持・存続では、集落機能の礎である 話合い の場づくり や 地域の仕組みづくりを促進するため、 引き続き集落支援員、地域づくり事業推進員、地域活動支援交付金を 組み合わせた取り組みを進めて参ります 。
 町では、中山間の 地域振興の課題である人口減少や高齢化社会から生ずる課題に正面から立ち向かう方法として、 1 つの集落では支えきれなくなったものを、集落間のネットワークで支え る仕組み として、 「小さな拠点づくり」を推進しており、第1号 となった 菅福地区の「高宮の郷」に続いて、現在、高尾・後谷・金持エリアで拠点化による地域を支える仕組みづくりを進めています。 また、 この仕組みを、全町に広げていくよう推進を図り、人口が減少しても暮らし続けることができるよう、集落と行政が一体となり取り組んで 参ります 。そのためには 現在、主には話し合いによる集落活動のきっかけづくりに利用していただいている地域活動支援交付金について 、 さらなるチャレンジに向かう自治会への研修や人材育成、更には地域活動の実践について 引き続き支援して参ります 。

 次に「移住・定住」に関する施策について。本町の人口は本年1月1日現在で2,720人であり、昨年同日の2,839人と比べ 119 人減少しています。一昨年から昨年の 60人の減少と比べ 、 減少幅が増えています 。この速度をできるだけ緩やかにしていくためには、若い世代に住み続けてもらえる環境を整え、Uターン者等の移住者を 引き続き 呼 び込 んで参ります 。加えて、就職や進学などでいったん日野町を出られる方にも引き続き日野町との関係を保っていただけるような仕組みをつくり 、 将来の U ターンにつなげて 参 りたいと思います。 令和5年度には 移住の予備軍となる関係人口を確保するため、特に若い層の確保に向けて 、 従来の同窓会助成に加え、ふるさと住民票登録を条件に 学生の 帰省費用を
支援する制度を新設しました 。 現行の補助制度を継続するとともに、 今年度は若年層でふるさと住民票を登録した方や紹介した方に記念品をお送りする事業や 子供の遊び場であるしいたん広場や子 ども 食堂などソフト面での環境整備を進め、 若年層の関係人口を拡大し、町や集落の事業への参加や将来的な移住に期待しながら、 関係人口を始めとする町外の移住希望者への情報発信に注力して 参ります 。更には人口の減少が進む中、まちを維持していくためには、若者が住み、子供が誕
生し、地域で育っていくサイクルを維持していくための魅力ある環境整備が必要です。本年度から野田地内にある世帯向け住宅の隣地を建設候補地として、新たに世帯向け住宅の建設準備を 進めて 参ります 。 1戸建住宅4棟を 令和8年4月には入居できるよう、建設用地を取得し、完成を目指し て 参ります 。

 第2の分野 は「子育て ・幼児教育」 です。結婚、出産、子育てまでの切れ目のない支援や安心して子育てできる環境づくりを進めていくため、全ての妊産婦、こども、子育て世帯 を 一体的に相談支援を行う機能を有する「子ども家庭センター」を 新たに 設置し ます。また、「出産・子育て応援交付金」「出生祝金」「育児パッケージ」「すくすく子育て支援金」「家庭子育 て支援金」「 小中学生等応援支度 金」「ごみ袋支給事業」などの支援制度を継続し、経済的にも子育て支援の充実を図って参ります。 さらに 、 18歳以下の児童の医療費無償化について は 既に本町では取り組んでいますが、 令和 6年度からは鳥取県の 特別医療費助成 制度として、県内どこでも利用しやすい 制度 として、 子育て環境の向上に 努めて 参ります 。
 ひのっこ保育所では、令和6年度は47名程度の入所が予想されています。令和2年度より保育料を無償とし、令和3年度は、時間外保育、土曜保育ができる体制を整え、町内で安心して子ども を産み、育てることができる環境整備を進めて参
りました。また、子育てを支援するために「子育て支援室おひさまひろば」を引き続き開設し、保護者のニーズに合った講座の開設や情報発信を行って 参ります 。「おひさまひろば」や家庭教育支援チームの事業などでは、家庭訪問等によるアウ
トリーチ型の子育て支援も行って参ります。より充実した幼児教育を展開するために、保育士の研修の機会と内容の充実を図り、「遊びきる子ども」を育むことができる専門的力量を身に付け、保育士の一層の資質向上を図って参ります。
 病児・病後児保育室については、日野病院に業務を委託する ことで、診察から利用までの手続きの簡素化を図るなど、ご利用いただきやすい仕組みを整え、令和4年度から5年度においても、利用者が大幅に増加いたしました。さらに、より多くの 皆様に利用いただけるような体制や環境について検討し 、 引き続き必要な人員を配置し、一人一人の発達に応じた保育を 行 って参ります。

 次に第3の分野 は 、「学校教育・社会教育」です。令和6年度の日野学園の児童生徒数は、前期課程(1~6年生)73名、後期課程(7~9年生)36名、合計109名の予定です。令和5年4月に施設一体型の義務教育学校として開校した 日野学園 では 、1年生から9年生まで が 同じ学校の中で、互いに切磋琢磨し、様々な課題を 創意工夫により乗り越えていきながら学び、特色のあるより良い学校づくりに取り組んでおります。そして独自教科「はばたき科」を核として「ふるさとキャリア教育」を推進し、ふるさとを愛し心豊かに、たくましく羽ばたく子どもたちを育成していきます。
 町を持続させるためには、将来の日野町を創る人材を育てていかなければなりません。自然、歴史文化、人物等、地域の良さを学び、郷土への愛着と誇りを醸成する学習を体系的に行うとともに、体験・探究活動を通して、子どもたちが生まれ育った地域に貢献しようとする意欲を養って参ります。そのため に、保護者の皆様や地域の皆様の参画を得ながら、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に進めて参ります。また、学校施設環境を整備するため、令和6年度は日野学園グラウンドの改修工事を実施し、排水状況などを改善して円滑に使用できるよう、快適な環境づくりを行います。
 日野高校の 魅力向上 につきましては、引き続き日野郡 3 町と鳥取県、日野高校が連携し、これまで以上に魅力の発信に努め、入学者増を目指して参ります。また、「公設塾まなびや縁側」においては、高校生が地域への理解を深めることに
よって、ふるさとに貢献できる人材の育成を進めて参ります。
 社会教育では、公民館を中心に、社会を生き抜く上で必要な自立・協働・創造に向けた力を、生涯を通じて身に付けていくことができるように、町民の皆様が直面する課題や社会の多様な課題に対応した質の高い学習を充実させるとともに、学習成果が広く活用されるような機会をつくって 参ります。

 第4の分野は、「産業・雇用」 の分野 です 。まず本町の基幹産業である「農林業」についてです。
 「農業」については、「日野町がんばる地域プラン」 の取組開始後、5年目の最終年 度 を迎えることから、取組の定着化を図るため、白ねぎ、ピーマン、ブロッコリー、シイタケの農産物4品目の生産振興に加えて、チャレンジ品目として生産拡大や特産品化が進められてきた青パパイヤ、スイートコーンの生産振興を図ります。
 また、循環型農業の実践に繋がる堆肥散布の継続実施、農林振興公社の人員体制を維持するとともに、新たに地域おこし協力隊制度を活用した人員確保に取り組み、作業受託や利用権設定、地域計画の作成による業務量の増加に対応することで、担い手と共に本町の農業を支えてまいります。さらに、本町の米作りを守り、継続維持するため、水稲苗代助成制度の継続実施や経営移譲のための親元研修支援など、意欲ある農家を下支えし、本町の農業・農村をしっかりと守っていく取組を推進していきます。これに加えて、有害鳥獣による農作物被害を防ぐため、 引き続き、 侵入防止柵の設置を推進し農地保全を図るとともに、 人材確保に向けた取組みとして、 銃免許を取得する新規狩猟者への経費助成など の取り組みも 進めて 参ります 。
 次に「林業」については、手つかずとなっている森林の整備を推進し、災害に強い森林づくりのため、森林所有者への 意向調査や集積計画の作成、間伐や皆伐の実施及び路網整備など、森林環境譲与税を 活用した 取り組み を進め ます。
また、林業専用道金持朝刈1号線の舗装改良、スマート林業の推進を図る鳥取日野森林組合への支援、さらには、林業の担い手を確保するため、インタ ーンシップの受入れ支援や新たな林業従事者の町内への移住定住を図るための家賃補助を継続し て参ります 。
 次に「商工業」についてです。新型コロナウイルス感染症の5類移行後、人の移動が回復し活発化しつつある中、本町の地域・経済活性化のためには、地元商工会との連携した取組を進めていくことが重要です。このため、中小企業の経営相談や融資相談、講習会などの経営支援、賑わい創出に繋がるイベント実施支援、消費喚起のための飲食店スタンプラリーの実施、観光振興のためのサイクルツーリズムの推進など、町商工会が行う地域経済活性化に向けた事業を支援するとともに、中小企業の資金繰り支援、起業・創業への支援など、町商工会と一緒になって地域 産業の活性化を図って参ります。
 最後に「観光業」についてです。本町の地域・経済活性化のためには、観光客の方に本町にお越しいただくことも重要です。 この4月からは新型やくも車両が伯備線での運航が始まり、令和7年4月には 上菅駅が開業100周年を迎えます。 引き続き、観光担当職員や賑わいづくりコーディネーターを配置し、観光情報の発信やイベント企画などを通じた観光振興に取り組んで参ります 。また、昨年に続き「WEST EXPRESS 銀河」の根雨駅停車を活かし、根雨のまち観光大使の「根雨つむぎ」を活用した乗客へのおもて なしを行うことで、町外からの誘客につなげ、交流人口・関係人口の拡大を図って 参ります 。

 併せて、本町の観光資源であり、町内外から誘客が見込まれる「鵜の池公園キャンプ場」や「滝山公園」を適切に管理するとともに、星空保全地域として指定された、優れた星空環境を活かした星空観察会の開催など、地域資源や観光資源の活用に取り組んで 参ります。「金持テラスひの」や「オシドリ観察小屋」については、 円滑な管理・運営を継続
しながら、観光客の方に本町の魅力をお伝えして 参ります 。この他、たたら文化 の普及活動やイベント開催などに取り組む「伯耆国(ほうきのくに)たたら顕彰会」への支援などにより、たたらをキーワードとした観光地づくりを進めて 参ります 。


 第5の分野は、「まちづくり」です。誰もが心豊かで潤いのある生活や生きいきと輝き活力がある社会を実現する
取組など進めて参ります。

 まずは 、ねんりんピックについてです。今年、鳥取県内を会場にねんりんピックはばたけ鳥取2024が、 10 月19日から22日の4日間、開催されます。日野町は、ソフトテニスの会場となっており、全国から多くの選手や関係者がお越しになられ ます。ソフトテニス大会だけではなく、おもてなしイベントや健康教室なども開催することとしておりますので、町全体で盛り上げていく大会にして 参りたい と思います。
 次に、 生活交通確保対策事業 について です 。住民から高い評価もいただいている高齢者等がワンコインで「ドア
to ドア」 の 利用ができる 町営タクシーや 町営バス路線の運行を引き続きタクシー助成と合わせて実施し、現在の運行体制を維持し 、 安心で使いやすい移動手段の確保に努め て参ります。
 次に住民の皆様の買い物支援となっている 移動販売事業についてです。県内でも先行して事業承継し、町内隅々まで届く買物支援、見守り福祉、暮らしの支援は、合同会社ひまわり が受託し、 安定して運営いただ いております。県内で食料品店やスーパーの店舗の閉店が相次いでおります。住民の食を守るという観点から、町内の食料品店についても県の支援 を いただきながらサポートし て 参りたい と思います。
 次に日野学園の開校に伴う黒坂小学校及び日野中学校の跡地利用についてです。旧黒坂小学校は日野町リノベーション
Lab と言う「研究所、多様な集いの場、コワーキングスペース、起業創業スペース」など多様な利用ができる場として利活用 を進めています。 今年度は、スタッフを一人常駐させ、安心していつでも利用ができる場として、こども食堂やカル チャーセンターを追加して 、 更 なる 利活用を進めていき、地域の拠点、よりどころとして充実させて いくため、一部 施設 の 改修 を実施して 参ります。旧日野中学校については 、 引き続き 「しいたん広場」を毎週土日に開設して、親子
連れで過ごしていただ けるよう 一層取り組みを進めて 参ります。
 さらに旧学校施設につ きま しては、 日野町立学校跡地利用検討委員会に答申いただいた報告書に基づいて利用検討を進めておりますが、今年度はサテライトオフィスなどの利用について検討を進めて 参ります 。
 次に皆さんにご覧いただいているチャンネルひのについてです。今年契約を更新し、 3 期目の契約ということになります。当初より生きた情報発信、さらには住民参加や意識の高揚を促すことなどを目標に掲げておりますが、 新しい契約を機に、 新たな企画を 計画し、 皆さんに喜んでいただ けるよ う 取り組んで 参ります 。
 次にデジタル化への取り組みについてです。デジタルデバイドいわゆる情報格差 の対策 として、昨年度スマートフォンを用いて、町の行政情報を発信するアプリや気軽にフレイルチェックができるシステムの導入を行いました。今年度も 高齢者の方向けのスマートフォン購入助成や 、操作などを学んでいただくためのスマホ教室の開催 し、デジタル技術の普及に取り組んで参ります。
 また、今年度は、 行政情報を発信するアプリ からでも見られるよう 町内の土砂災害警戒区域、浸水マップのほか、避難所情報、 AED ・消火栓 の位置情報などをウェブ上で閲覧できるよう専用サイトを創設します。災害時には通行止め情報、避難所開設情報等も発信し、地域住民等に正確な情報を伝えるとともに迅速な避難行動につなげていき 、 便利で安全で安心な生活が送れる体制を構築して参ります。
 次に、簡易水道の整備についてです。中菅地区にあります黒坂地区簡易水道施設の水源地について、昨年度実施予定であ
った試掘井戸掘削工事の再検討を行い、本年度は本井戸掘削と揚水量及び水質検査を実施し、変更認可申請 を行います。令和7年度には配管・機器設計及び工事に着手し、令和8年度の供用開始を目指します。
 最後に、運動・スポーツは、体力を向上させ、豊かな心と健やかな体を育む基礎となります。また、伝統、文化芸術に触れ、地域への理解を深めることは、郷土を愛し、豊かな人間性を持った人材の育成につながるものと考えております。ソフトテニスやカヌー など 、日野 町の特色あるスポーツの普及、振興に引き続き努めて参ります。また、ニュースポーツ大会などの開催においては、幅広い世代のより多くの町民の皆様に参加いただけるように、内容などについて検討をしていきます。
 また、文化センターでの公演など事業の実施を通し、芸術文化活動を推進します。日野町図書館では、学校図書館及びひのっこ保育所との連携の中で、図書の充実と読書活動を推進します。また、情報提供や展示等の場を設置し、住民が集う場としての活用を進めて参ります。
 文化財に関しては、「文化財保存活用地域計画」に基づき、地域社会総がかりによる文化財の保存、活用を進めます。また、遺跡やまち並み、伝統芸能等の歴史、町の優れた自然を地域資源として積極的に生かした取り組みを進めて参ります。

 第6分野は、「保健・医療・福祉」です。まず「医療」についてです。町として住民の皆さまに安心して暮らしていただくためには、現在の医療提供体制を維持していくことが重要です。地域医療の維持存続に向けて、日野病院を中心に日野郡内の医療機関との連携を強化し、機能分化を進めていくことと、小児科医の共同雇用を始めとする「医師確保」の取組みを更に強化し、今後の医療資源確保に全力で 取り組んで 参ります。今年度は、自治体病院の医師不足解消のため、 鳥取県と関係自治体による支援を実施し、鳥取大学医学部地域医療学講座による 総合診療医の育成 、 確保に協力することとしています 。また、令和4年度から 開始した帯状疱疹ワクチンの予防接種費用 の 助成につきましては 引き続き実施し、重症化の予防を図って参ります。
 次に、がん検診率向上に対する取り組みです 。 死亡原因として最も多いがんを早期発見するには、がん検診が欠かせません。 長年 受診率が伸び悩んでいる 集団がん検診の自己負担 を 無償化 すること により、早期発見、早期治療につなげ、町民の健康増進につなげて参ります。さらには、スマートフォンにより検診予約ができる仕組みにより、検診を受けやす
い体制 を 整備 して 参ります。
 次に「介護」です。今年度は介護保険事業計画の見直しの年で あり 、 町では 令和6年度から令和8年度までの 「第 9 期介護保険事業計画」を策定しました。介護保険料については第8期計画では 月額基準 が 6,859 円 でしたが、 第9期計画では 5,959 円 に引き下げ るこ とと なりました 。国全体の社会保障費に対する負担が増加する中で、100 歳体操などの介護予防事業を更に充実させ、健康寿命の延伸に取り組むことで、今後も住民の皆さまの負担軽減となるよう事業展開を図って参ります。また、この春からは、 スマートフォンで フレイル度チェックができる仕組み を スタート させてい きます 。
 続いて、「福祉」です。一人ひとりが生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことができる「地域共生社会」が実現できるよう取組みを強化して 参ります 。
今年度は、日野町社会福祉協議会を中心とした送迎支援の仕組みづくり に取り組み、今後の発展に期待 する 事業 にしていきたいと考えています。


 第7分野は、「防災・減災」です 。根雨地区の急傾斜地崩壊対策事業を引き続き実施します。本事業は、県営事業 で実
施しており、本年度は、根雨2区側の落石防護柵設置工事に着手します。工事完成は令和7年度を予定しており、山の斜面の崩落・落石を防ぎ、関係地元住民の皆様の安心を確保 して 参ります 。
 次に、耐震化住宅の推進についてです。今年1月に発生した能登半島地震では、多くの家屋が倒壊する被害が発生し、家屋の耐震化が全国的に問題となっています。鳥取県には地震を引き起こす断層が複数あり、今後の地震対策として、震災に強いまちづくり促進事業補助金を創設し、住宅 の 耐震 化 対策を推進します。耐震診断費用の助成、診断結果に基づく改修費用等の助成を行い、住まいの耐震化を支援していきます。
 次に、耐震性貯水槽の整備についてです。火災時に被害を 最小限にくい止め、住民の生命財産を守るため、確実 な 水利を確保することができる耐震性貯水槽の整備を 年次的に 実施 していますが、今年度は野田地区 、中菅中央(岡地区)にそれぞれ1基ずつ設置し、地域の安心安全を確保して 参ります 。
 続いて、災害に備えるインフラ整備です。町が管理する98の橋梁、4ヵ所のトンネルは、5年に1度の点検及び診断が義務付けられており、その診断結果により計画的に補修等を行っています。本年度は、32橋の点検、3橋の修繕工事を実施し、長寿命化対策を進めていきます。
 全町一斉防災訓練では、昨年度より コロナ禍前の実践的な防災訓練を再開しましたが 、 能登半島地震を踏まえ、訓練を通じて 地域防災力の向上を強化して 参ります 。

 まちの防災力を維持する上で、ソフト面での大きな課題のひとつは町消防団員の確保です。町の防災力の大きな要の1つが町 消防団であることは明らかです。しかしながら人口減少・高齢化に伴い、消防団員の新規加入、あるいはその定着は年々厳しさを増しています。引き続き団員の確保・定着を図りたいと思います。

 

 以上、令和6 年度 の当初予算における主要事業について申し述べました。人口が減少していく中にあっても、人と人とのつながりを大切にし、生きがいをもって安全で安心して暮らせるまち、 暮らしている人たちが「住んで良かった」と思えるまち、 将来を担う子供たち が 誇りを持って未来 へ 引き継いで行けるまちづくり を 念頭に据え、町民の皆さん一人ひとりが行政に参画のもと、一体となって創意工夫を凝らしながら、 全力 で町政の運営に邁進して 参りますの 、議員各位 並びに 町民の皆様のご理解とご協力をお願い 申し上げ、施政方針といたします 。

 

 令和6年3月5日

日野町長 﨏田淳一