○日野町男女共同参画推進条例

平成29年3月21日

条例第4号

「日本国憲法」は、個人の尊重と法の下の平等を保障している。

日野町では、日野町部落差別撤廃及び人権擁護に関する条例(平成5年日野町条例第17号)を制定し、基本的人権を尊重してあらゆる差別をなくす町づくりを推進している。男女共同参画については、平成25年に第2次男女共同参画プランを策定し、国及び鳥取県の施策とも連携しながら、男女共同参画社会の実現に向けて取り組んでいる。

しかしながら、性別による固定的な役割分担の意識や社会的な慣行は、時代とともに変わりつつあるものの、家庭や職場、地域においても依然として残っている。本町では少子高齢化や人口減少をはじめ、未婚・晩婚化の進行、単身世帯の増加など中山間地域特有の様々な問題を抱えている一方で、女性の就業率が高く、地域において住民主体の特色あるまちづくり活動が盛んに行われている。

人口減少が著しい状況の中にあって、町民が豊かに生きいきと暮らし、町が存続していくためには、性別にかかわらず誰もがそれぞれの違いや多様な生き方を尊重し、その有する能力を最大限に発揮できる社会を実現することが重要となっている。

こうした状況を踏まえ、自然や歴史・文化が豊かで、人と人のつながりが強い日野町の強みや特色を活かした男女共同参画社会の早期実現を目指して、ここにこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、町や町民等の責務を明らかにするとともに、町の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を推進する施策を総合的かつ計画的に推進し、町民一人一人がきらりと光る、心豊かで活力のある男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意味は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受するとともに責任を担うことをいう。

(2) 町民 町内に居住又は町内に通勤若しくは通学する者をいう。

(3) 事業者 町内において事業を行う個人又は法人をいう。

(4) 各種団体 町内において活動を行う団体をいう。

(5) 教育関係者 町内において、学校教育、社会教育、保育等に関わる者をいう。

(6) 町民等 町民、事業者、各種団体及び教育関係者をいう。

(7) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により当該言動を受けた者に苦痛を与え、その者の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた者の対応によりその者に不利益を与えることをいう。

(8) ドメスティック・バイオレンス 夫婦間及び恋愛関係にある男女間その他の密接な関係にある男女間で行われる暴力的行為(暴力その他身体的、精神的、性的及び経済的に有害な影響を及ぼす言動)をいう。

(9) 積極的改善措置 第1号に規定する機会に関して男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、当該機会を提供することをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的な取扱いを受けないこと、男女が社会のあらゆる分野においてそれぞれの個性及び能力を発揮する機会が確保されることその他男女の人権が尊重されること。

(2) 性別による固定的な役割分担を反映した社会の制度及び慣行が、男女の社会における活動の自由な選択を阻害することのないよう配慮されること。

(3) 男女が、社会の対等な構成員として、町の施策又は事業者若しくは各種団体における方針の立案及び決定に際して、共同して参画する機会が確保されること。

(4) 男女が、相互の協力と社会の支援のもとに、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動を円滑に行うことができること。

(5) 男女が、互いの性について理解を深め、妊娠及び出産に関し、双方の意思を尊重するとともに、生涯にわたり健康な生活を営むことができること。

(6) 男女の社会における活動の不均衡を是正し、職場、地域その他のあらゆる分野において女性の活躍を推進すること。

(7) セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスをはじめあらゆるハラスメントが人権侵害であることを認識し、その根絶を目指すこと。

(町の責務)

第4条 町は、前条で定める基本理念に基づき、男女共同参画を推進する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。

2 町は、男女共同参画の推進に当たり、国、他の地方公共団体及び町民等と連携して取り組むものとする。

(町民の責務)

第5条 町民は、男女共同参画についての理解を深め、基本理念に基づき、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めなければならない。

2 町民は、町が実施する男女共同参画を推進する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、男女共同参画についての理解を深め、基本理念に基づき、女性の活躍を推進し、男女が事業活動に対等に参加する機会を確保するとともに、男女が仕事と家庭生活を両立することができる職場の環境づくりに努めなければならない。

2 事業者は、町が実施する男女共同参画を推進する施策に協力するよう努めなければならない。

(各種団体の責務)

第7条 各種団体は、男女共同参画についての理解を深め、基本理念に基づき、男女共同参画の推進に努めなければならない。

2 各種団体は、町が実施する男女共同参画を推進する施策に協力するよう努めなければならない。

(教育関係者の責務)

第8条 教育関係者は、男女共同参画社会の形成に果たす教育の重要性を深く理解し、基本理念に基づいた教育又は保育に努めなければならない。

2 教育関係者は、町が実施する男女共同参画を推進する施策に協力するよう努めなければならない。

(セクシュアル・ハラスメント等の禁止)

第9条 何人も、あらゆる場において、性別による差別的な取扱い(性的指向又は性的自認に起因する差別的な取扱いを含む。)、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス、妊娠又は出産を理由とする不利益な取扱いその他の行為により男女の人権を侵害してはならない。

(基本的施策等)

第10条 町は、男女共同参画を推進するため、次に掲げる基本的施策を行うものとする。

(1) 町民等が男女共同参画についての理解を深めるため、広報又は啓発の活動を行うこと。

(2) 町民等が行う男女共同参画の推進に関する活動に対し、積極的に情報提供その他の必要な支援を行うこと。

(3) 男女共同参画についての理解を深め、性別による固定的な役割分担等にとらわれない多様な選択を可能にするため、学校教育、保育並びに家庭及び地域における教育を推進すること。

(4) 男女が、相互の協力と社会の支援のもとに、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動と当該活動以外の活動とを円滑に行うことができるよう、環境整備その他の必要な支援を行うこと。

(5) 附属機関又はこれに類するものにおける男女の委員の数の均衡が図られるよう努めること。

(6) 防災分野の施策において、男女双方の視点を取り入れた防災体制に配慮すること。

(7) 男女共同参画の推進に関する国際社会の動向及び国内における取組に留意し、男女共同参画を推進する施策に役立てること。

2 町は、前項に規定する基本的施策を実施するに当たり、男女共同参画の不均衡を是正し、女性の社会における活躍を推進するため、次に掲げる積極的改善措置を行うものとする。

(1) 女性が職業生活と家庭生活との円滑な両立が可能となるよう、保育園及びその他の環境整備を行うこと。

(2) 女性の職業生活における活躍を推進するため、事業者に対し、情報の提供、啓発その他の必要な措置を講ずること。

(3) 政策・方針決定過程への女性の参画拡大を図るため、目標を定めて町の女性職員の登用及び育成を図ること。

(4) 男女がともにまちづくりに参画できるように、地域における意思決定等の場への女性の参画の促進を図ること。

(5) その他女性の社会における活躍を推進するための積極的改善措置を図ること。

(男女共同参画プラン)

第11条 町は、前条に規定する基本的施策等を総合的かつ計画的に推進するため、日野町男女共同参画プラン(以下「参画プラン」という。)を策定する。

2 町は、参画プランを策定するに当たり、積極的改善措置のうち必要と認めるものについて、数値目標を定めるものとする。

3 町は、参画プランを策定するに当たり、あらかじめ、第16条第1項で定める日野町男女共同参画推進委員会の意見を聴かなければならない。

4 町は、参画プランを策定したときは、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、参画プランの変更について準用する。

(相談への対応)

第12条 町は、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他の男女共同参画の推進を阻害すると認められることについて、町民等からの相談に応じるとともに、関係機関と連携し、必要な支援を行うものとする。

(苦情の処理)

第13条 町は、町が実施する男女共同参画を推進する施策又は男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策について、町民等から苦情の申出を受けた場合は、適切に対応するものとする。この場合において、町長は、必要があると認めたときは、第16条第1項で定める日野町男女共同参画推進委員会の意見を聴くことができるものとする。

(推進体制の整備)

第14条 町は、男女共同参画を推進する施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制を整備するものとする。

2 町は、男女共同参画を推進する施策を実施するため、必要な財政上の措置を行うよう努めるものとする。

(報告)

第15条 町長は、毎年、男女共同参画を推進する施策の実施状況について、次条第1項で定める日野町男女共同参画推進委員会に報告するとともに、公表するものとする。

(男女共同参画推進委員会)

第16条 男女共同参画の推進に関し必要な事項を調査及び審議するため、日野町男女共同参画推進委員会(以下「推進委員会」という。)を置く。

2 推進委員会は、この条例の規定に基づく事項のほか、男女共同参画の推進に関する重要事項について、町長に意見を述べることができる。

3 推進委員会は、委員15人以内で組織し、町長が委嘱する。

4 推進委員会の男女いずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。

5 委員の報酬は、人権センター運営審議会委員の例による。

6 前5項に定めるもののほか、推進委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

(委任)

第17条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

日野町男女共同参画推進条例

平成29年3月21日 条例第4号

(平成29年3月21日施行)