平成29年度施政方針及び当初予算の概要について

平成29年度施政方針及び当初予算の概要について

平成29年度施政方針 平成29年3月3日 日野町長 景山享弘

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議員各位には、平素から町政運営にご支援を頂き、心から感謝申し上げます。

平成29年度の町政推進に当たり、施策の方針を申し述べ、議員の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げるものであります。

この一年、自然災害が相次ぎました。熊本地震や東北・北海道に台風が上陸し多大な被害をもたらすなどこれまでの想定や科学の常識を超える自然の猛威に襲われました。鳥取県内では昨年10月鳥取県中部を震度6弱の地震が直撃し住宅の屋根瓦や壁の崩壊など大きな被害が発生しました。また、今年に入って県内は二度の豪雪に見舞われました。県東部では90センチを超える積雪で幹線道路での車の立ち往生や、大渋滞が起こりました。自然災害の恐ろしさと防災対策の必要性を改めて考えさせられるとともに、17年前に鳥取西部地震を経験している日野町として、町民が安心して住み続けられるまちづくりに一層力を入れなければならないと決意を新たにしているところです。

目を世界に転じると、アメリカ新大統領は米国第一の旗を振り保護貿易や移民排斥に動くなど異端の言動を繰り返し、わが国をはじめ各国は緊張と混迷の中にあります。北朝鮮はミサイル実験を繰り返すなど東アジアの不安定要因は増し、欧州は統合から流動化への道を歩み始めているように見えます。世界では今、先行きの見えない情勢が続いています。

国内では、安倍首相による長期政権が続いていますが、アベノミクスによる地方への波及はいまだ見えず期待は薄れつつあるといえます。高齢社会にあって必要な税財政改革は先延ばしする中、国民の格差は拡大し、東京への一極集中は続いています。政府にはやるべきことをしっかりとやって頂きたい。外交に力を入れるのは当然として内政にもきちんと目を配ること。地方創生を断固推進し、国と地方の総力戦で、東京一極集中を是正し若者の地方流出を食い止める手立てを講じなければなりません。

私が、町民の付託を受け町長として町政の舵取りを担ってから、3期12年目を迎えます。この間、私は、財政の再建を、そして財政の健全化にと力を注いできました。

日野町の財政は、27年度決算で実質公債費比率が当面の目標だった18%を切り、地方債残高は20億円を下回り、積立金は17億円となるなど健全化に向かっています。しかしながら、税収は乏しく交付税に大きく依存する脆弱な財政構造にあり、今後も厳しい財政運営を迫られます。鳥取県西部地震後の財政再建という貴重な経験を引き継ぎ、町民と情報を共有し、堅実な財政運営を心掛けることが肝要であります。

一方で、国勢調査による人口は3,278人となり人口減に歯止めがかからない状況にあり、これを緩やかにすることが急務であります。健全化に向かう財政を土台に、地域を活性化する施策が今こそ求められています。

こうした中、平成29年度の当初予算は、公約で最重要課題としてきた「子育て支援」「若者定住促進 」「保健・医療・福祉の連携」を引き続き推進します。そして、27年10月、町民の幅広い参画を得て策定した「きらり日野町創生戦略」に基づく事業を着実に進めて行きます。少子高齢化、人口減少などの課題に果敢に挑戦し、将来にわたって町民の皆さんの生活を守り活力ある日野町を維持してまいります。

課題であったブロードバンド整備や元日野サンプラザの有効活用などが本格的に動き出す一年になります。3期目の最終年となるこの一年に全力を尽くす所存であります。

初めに、重点事業について述べます。

人口減に歯止めをかけ、若者を中心とした移住・定住を促進する「ふるさと日野あゆプロジェクト」をさらに充実し取り組みます。具体的には、移住・定住を促進するため、移住者をはじめ町内在住の若年世帯も対象とした住宅整備や空き家改修への支援、移住者への通勤支援、U・Iターンや孫ターンした児童・生徒を対象とした給付型のあゆ奨学金を継続実施するほか、新たに婚活を支援する事業に着手するなど、日野町独自の移住・定住対策に積極的に取り組みます。

本町地方創生の柱である元日野サンプラザの有効活用については、まずはセレモニーゾーンで葬祭施設を先行整備し早期の開業をめざします。賑わい交流ゾーンとオフィスゾーンでは、金持神社の縁起にあやかって宝くじ売り場を開設し、店舗やオフィスの出店を募り官民連携によりまちの賑わいを創出します。

次に、ブロードバンド整備であります。高速の光通信網を求める声に応え、29年度末までに町内全域で高速ブロードバンドサービスを可能にします。県内初の民設民営方式により(株)中海テレビ放送に事業実施をお願いしており、町民の皆さんには積極的に加入をお願いしたいと思います。併せて、防災、観光、医療福祉などの分野で高速情報通信網の活用を図ってまいります。

本町の歴史・文化は貴重な地域資源であります。「たたら文化」を活かした町づくりとして、28年度に国の地方創生加速化交付金を活用して取り組んだ「奥日野たたらの里づくり」プロジェクトを受け継いで、都合山たたら遺跡、根雨宿でのモニターツアーやガイド養成などに取り組みます。

続いて、個別の分野について述べます。まず、教育・子育て支援についてであります。

中山間地にあっても、都市部に負けない、むしろ都市部を上回る教育環境を整え小規模を逆手にとって手厚い教育で、地域や家庭と一体になって子ども達を守り育ててまいります。

これまで、各教室へのエアコン設置、タブレットや電子黒板等ICT機器を整備するなど、教育環境の充実を図ってきました。29年度においては、それらを効果的に活用した授業により一層の学力向上を目指します。

平成32年度に全面実施される小学校5年からの英語の必修化、小学校3年からの英語の導入に先行し、児童生徒の英語への興味関心を高めるとともにコミュニケーションツールとしての英語を学ぶ公設の英語教室を新たに開設します。また地域とともにある学校づくりを進めるために、学校・家庭・地域が一体となって学校運営をするコミュニティスクールの導入に向けた取組を行います。

引き続き学校図書館司書、児童支援員を配置、黒坂小学校で少人数学級対策を図るほか日野中学校に学習支援員を配置いたします。またふるさと基金を活用し学校図書館に日野産材の椅子を整備、小中学校、保育所、よらいや図書館、町図書館では引き続き図書の充実を図ります。

ひのっこ保育所の運営については、引き続き保育料の大幅な引下げを実施し保護者の負担軽減を図ります。また「子育て支援室おひさまひろば」や「病後児保育」を実施し、保護者の子育てと就労を支援してまいります。

昨年度からソフトテニスのスポーツ指導員を配置しており、小中学校や日野高校のクラブ活動等で更に活用し日野町のスポーツ振興を図ってまいります。

次に、日野高校との連携です。「魅力化コーディネーター」を日野郡3町で共同配置し、学校と地域との連携による日野高校の魅力向上に取り組んでおり少しずつ成果も見え始めました。29年度においては、コーディネーターを1名増員しこの動きを加速していきます。また、現在休止中である日野高校の双葉寮を再開するに当たり、寮の運営にあたる専任舎監や調理員の配置を町として支援し、県内外からの生徒確保につなげてまいります。

続いて、保健・医療・福祉の一体化による、子どもからお年寄りまで安心して暮らせるまちづくりについてであります。

私の公約の一番目に掲げました「子育て支援」では、新たに「家庭子育て支援事業」を開始します。一定条件のもと1歳までは3万円、3歳までは1万円を交付し、お子さんを家庭内で保育する親御さん、祖父母を応援します。乳幼児期をゆったりとした家族環境で過ごし、家族やひいては地域への愛情の醸成につながることを期待しています。

また、「子育て世代包括支援センター」が行う妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない見守りと総合相談支援、産まれた直後の「育児パッケージ支給」や3歳までの誕生日にお祝い金を贈る「子育て支援事業」で親御さんの子育てを応援します。妊婦・乳幼児健康診査や歯科健康診査、訪問事業など母子の健康保持及び増進を進めるとともに、特定不妊治療及び人工授精治療費への助成を通じて、お子さんに恵まれない夫婦の支援にも取り組んでまいります。

高齢者福祉については、高齢者の皆さんが地域の中で健康で自立し、安心して、生きがいをもって暮らすことができるよう、関係機関と連携し医療や介護サービスの提供はもとより、高齢者の見守り支援、地域に出かける介護予防教室、買い物や交通手段の確保など生活支援を包括的に提供してまいります。

介護制度については、新年度から介護需要の動向に的確に対応するため、介護予防・日常生活総合支援事業が始まります。まず、日野病院、町内の居宅支援事業所等との連携強化を図り、利用者の新制度への円滑な移行に努めるとともに、一層の介護予防に取り組みます。

保健事業では、がん検診をはじめとする各種検診及び健康診査の受診率の向上を図り、疾病の早期発見・早期治療の推進を継続するとともに、健康寿命を延伸するよう「今日(いま)から始める”健康寿命“事業」を継続します。日野病院と鳥取大学医学部の協力を得て健康知識の習得や健康体操を行い、生活習慣の改善を目指します。

続いて、産業の振興であります。

農業を取り巻く情勢は、高齢化と後継者不足、農地の荒廃化など課題が山積していますが、新制度となった農業委員会と手を携えて対策に当たります。

担い手農家への支援を継続し、新たな機械導入に助成を行います。また、販売野菜の種苗購入費を新たに補助することにより販売農家の所得向上と意欲増進を図ります。農林振興公社運営について、農業研修生を受け入れ後継者育成を進め、持続可能な公社運営を支援します。さらに、中山間地域等の農業生産条件の不利を補正し、集落営農を維持・強化するため、中山間地域等直接支払、多面的機能支払、しっかり守る農林基盤整備事業などにも引き続き取り組みます。

一方で農地を守るのに欠かせない鳥獣被害対策については、鳥獣害支援員を1名採用し日野郡3町と県の連携による対策協議会で取組を進めてまいります。

次に木材価格は依然低迷しておりますが、国土保全の意味からも山を守ることは必要不可欠であります。今後も森林組合などの林業事業者と連携を密にし、森林経営計画の策定を促進し、間伐事業に取り組んでまいります。

滝山公園整備については、28年度からスタートした環境整備や年次的な植生を継続実施し、ツツジの開花状況を改善しツツジの名所滝山公園の復活を図ります。

商工業については、町内事業者支援として昼食スタンプラリーを継続するほか、新たに小規模事業者経営貸付資金利子補助を行うとともに、事業継承・商品開発セミナーを支援します。

公共事業については、通学・通勤の安心安全を確保するため、町道根雨1号線の歩道設置工事に取り掛かります。町道下黒坂線の舟場から江府町下安井までを鳥取県受託事業により設計と用地測量に取り組みます。新たに町道近江畑線の道路改良工事を行います。

また、安全でおいしい水を安定的に供給するため、根雨地区簡易水道浄水場の改良事業を実施します。下水道事業においては、処理施設の老朽化がみられ新年度から事故の未然防止やライフサイクルコストの最小化を図るため、長寿命化計画に基づき施設の更新を実施していきます。

以上、私の施政方針を述べさせていただきました。本町を取り巻く社会経済情勢は、今後も厳しさを増すことが予想されます。恐れることなく挑戦を続け、変革を目指す歩みを進めてまいります。町民の皆さんが安心して住み続けるとともに、未来を担う若者が一人でも多く定住し、夢と希望をもって暮らすことができるまちづくりを、残された1年、全力で取り組んでまいります。

議員各位及び町民の皆様のご理解とご協力をお願いし、私の施政方針といたします。